風俗営業許可1号(社交飲食店営業許可)とは?
設備を設けて「接待」を伴う接客をしてお客様に遊興又は飲食をさせる営業のことで、キャバクラ、ホストクラブ等がイメージしやすいのではないかと思います。
パブ、スナック、ガールズバーでも「接待」をしている場合は風俗営業許可1号の許可が必要になります。
「接待」とはどのようなことを指すのか
接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」をいいます。
下記に当てはまるような行為はすべて接待とみなされてしまいます。
- 「特定少数」のお客様の近くに座り、継続して、談笑の相手をする。
- 「特定少数」のお客様に対してお酌したり、手を握ったり、口に飲食物を運んだりする。
- 「特定少数」のお客様に対して歌うことを勧めたり、手拍子をしたり褒めはやしたり、カラオケのデュエットをする。
- 「特定少数」のお客様と継続して一緒に踊る。
- 「特定少数」のお客様と一緒に、遊戯、ゲーム、競技等を行う。
風俗営業許可1号(社交飲食店営業許可)の許可を取得すると接待はできるようになるのですが、0時〜6時は営業をすることができなくなります。
またもし風俗営業を無許可でやってしまった場合は「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科」というかなり重い罰則が設けられています。
風俗営業許可の3つの要件
要件とは必要な条件のことになります。
必要なのは場所的要件と店舗の設備要件、人的要件の3点となり、この3点を全てクリアしなければなりません。
場所的要件(用途地域と保全対象施設)
各自治体の条例によっては要件が異なりますが、用途地域が第一種低層住居専用地域や第一種住居地域などの住居集合地域になっている場合は営業することができません。
そのため住居集合地域に店舗があるにも関わらず場所的要件を確認せずに許可申請を行っても許可されることはありません。
必ず用途地域の確認をするようにしましょう。
市区町村の都市計画課などで確認することが可能です。
また保全対象施設が規制範囲内にある場合も風俗営業許可が下りることはありません。
保全対象施設とは学校や図書館、児童福祉施設、病院・診療所になります。
この規制範囲は都道府県により異なります。
下記は東京都の場合の規制範囲です。
用途地域 | 大学を除く学校 図書館 児童福祉施設 | 大学 病院 第1種助産施設 病床8床以上の診療所 | 第2種助産施設 病床7床以下の診療所 |
商業地域 | 50m | 20m | 10m |
近隣商業地域 | 100m | 50m | 20m |
その他 | 100m | 100m | 100m |
ビルの中に保全対象施設が入居していたりするので十分に注意して確認することが必要になります。
インターネットでの確認だけでなく、実際に規制範囲内を歩いて確認することが重要になります。
営業開始予定の営業所近辺に風俗営業許可1号を取得している店舗があったとしても、保全対象施設ができる前に許可を受けている場合があるので確認は怠ることなく必ずすることを強くおすすめ致します。
店舗の設備要件
店舗設備については下記要件をクリアする必要があります。
- 客室の面積が16.5㎡(和室の場合は9.5㎡)以上であること。(複数の個室がある場合はそれぞれの個室について。ただし客室が1室のみの場合は制限はありません)
- 客室内に見通しを妨げる設備がないこと。(概ね1m以上の衝立てや間仕切り等の設備がない)
- 善良の風俗または清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。(卑猥な写真などを置いていない)
- 客室の入口に施錠設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室への出入口については特に制限がありません。(出入口以外に鍵をつけてはいけません)
- 営業所内の照度が5ルクス以下とならないような構造または設備であること。(十分な明るさであり、調光設備がない)
- 営業所周辺における騒音又は振動の数値が、条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造または設備を有すること。(鉄筋コンクリートの壁など防音されている)
人的要件(欠格要件)
下記に該当する方は申請をしても許可を受けることができません。
この人的要件は申請者が個人名義の場合は【申請者個人】、申請者が法人の場合は【監査役を含む役員全員】また指定された【管理者】の全てに適用されることになります。
- 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者。
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなってから5年経過していない者。
- 風俗営業法第4条第2項イからワに規定する罪を犯し1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過していない者。
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者。
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
- 風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者(法人である場合は取消処分に係る聴聞公示日以前60日以内に法人の役員であった者で、取消しの日から5年を経過していない者)。
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(ただし、その者が風俗営業者の相続人であって、その法定代理人が欠格事由に該当しない場合を除く)。
管理者について
風俗営業をする場合、【管理者】を選任しなければなりません。
風俗営業を適正に運営・管理するための【管理者】を営業所に置かなければならないのです。
例えばママさんやマスターが経営者で自ら【管理者】として届け出ることは問題ありません。
ただ複数店舗を経営している場合などはひとつの店舗に常駐することは不可能なため、店長や支配人などを【管理者】として選任することになります。
1店舗に1人の【管理者】を置く必要がございます。
【管理者】については、公安委員会ではおおむね3年ごとに「管理者講習」が実施されます。
公安委員会から【管理者講習通知】が届くので、必ず受講するようにしてください。
また【管理者】の変更を行う場合は14日以内に届出が必要になります。
風俗営業許可(社交飲食店営業許可)申請に必要な書類
要件を全て満たしていたら必要書類を用意し、管轄の警察署に申請を行います。
風俗営業許可の申請に必要な書類は、下記となります。
- 風俗営業許可申請書(別記様式第1号※警視庁ホームページ)
- 営業の方法を記載した書類(別記様式第2号※警視庁ホームページ)
- 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類(使用承諾書・賃貸契約書・建物登記簿謄本・違法建築物でない旨を疎明する書類)
- 用途地域を証明する書類
- 各種図面(営業所平面図、営業所求積図、客室求積図、調理場及びその他の求積図、音響・照明設備図及び営業所周辺の概略図)
- 住民票(本籍記載のもの。外国人の場合は国籍記載のもの)の写し
- 人的欠格事由に該当しない旨の誓約書
- 成年被後見人又は被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書(法務局発行)
- 住民票に記載されている本籍地(市区町村)が発行する身分証明書
- 誠実に業務を行うことを誓約する書面
- 選任する管理者に係る赤字項目の書面
- 管理者の写真2枚(申請前6ヶ月以内に撮影した無帽、正面、上三分身、無背景の縦3.0cm、横2.4cmで裏面に氏名及び撮影年月日を記入したもの)
- 飲食店営業許可証の写し
- 料金表・メニュー表の写し
- 法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の赤字項目の書面
風俗営業許可(社交飲食店営業許可)の実地検査
風俗営業許可の実地検査では警察担当者(浄化協会担当者)が店舗に来て店舗構造・設備に関して下記検査をされます。
- 店舗の配置が提出された申請図面通りになっているか
- 店内の見通しが衝立などで悪くなっていないか
- 店内の明るさが照明によって基準以上となっているか
風俗営業許可の標準処理期間は「申請時期等により処理に要する期間が変動し、個別具体的な処理を要するため、標準処理期間を定めることはできないが、55日以内を目安とする」ということになっています。
この55日以内の目安は、申請をしてからで、土日祝日を除きます。
そのため審査期間だけで2か月半ほどかかることになります。
申請前に内装工事、保健所の許可申請期間、書類・図面作成の時間も考慮する必要がありますので営業開始できるまでに3か月以上かかる可能性もございます。
実地検査の担当者の方は家賃の心配をしてはくれません。
再検査にならないように彼らの納得する準備をしっかりとやりつつ進めていきましょう。
風俗営業許可(社交飲食店営業許可)お手続きの流れ
1.お問い合わせ・ご相談
まずはご連絡をいただき、簡単にご相談内容をお聞かせください。
開業予定の店舗住所や店舗図面のご用意が可能ならばご用意をお願い致します。
2.お打ち合わせ
日程調整のうえ開業予定店舗にお伺い致します。
店舗を確認させていただいたうえで、ご用意いただく書類や、手続きの流れ、スケジュールなどをお伝えします。
お打ち合わせ内容や最終的な価格をご確認いただいた後にご契約となります。
ご不明点等ありましたらこの場でお気軽にご相談ください。
3.現地調査
この時点で正式のご契約となり、費用が発生致します。
開業予定店舗の用途地域の確認および保全対象施設の調査を行います。
また店舗の内装工事の進捗状況に応じて、風俗営業許可を得るための要件もお伝え致します。
ご請求書をご案内を致しますのでご入金をお願いします。
警察署等に収める申請手数料が発生するため事前のお支払いをお願いしております。
予めご了承ください。
4.営業所の測量
図面作成のための店舗内の測量を行います。
5.飲食店営業許可申請
保健所へ飲食店許可申請を行います。
申請後に保健所の現地調査が行われます。
施設基準に合致していることが確認された場合、「営業許可書交付予定日のお知らせ」が交付されます。
「営業許可書交付予定日のお知らせ」を持参して、保健所で営業許可書の交付を受けます。
申請してから交付まで1週間前後はみておきましょう。
※風俗営業許可申請の添付書類となります。
6.申請書類および図面作成・添付書類準備
申請書類・図面の作成を行います。
添付書類の準備も進めますが、お客様にてご手配いただく書類もございますのでご協力をお願い致します。
7.風俗営業許可申請(警察署へ申請)
店舗を管轄する警察署への申請を行います。
※警察署によってはお客様ご本人の同行を求められる場合がございますので、その際は同行をお願い致します。
8.実地検査
風俗環境浄化協会による実地検査が行われます。
店舗が風俗営業許可の要件に適合するかどうかをここで検査されます。
また実地検査はお客様ご本人の立合いが必要となります。
私も一緒に立ち会いますのでご安心いただければと思います。
9.風俗営業許可証の交付
警察より風俗営業許可証の交付について連絡があります。
受取りに関しても当事務所にて代理受領し店舗に届けさせていただきます。
許可証が交付されれば営業が可能となります。